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パニック発作を起こしたときの呼吸法
苦しくなったときによく深呼吸をしなさいといいますが、パニック発作には逆効果です。
深呼吸で酸素をたくさん吸えば、よけいに苦しくなってしまいます。発作時に深呼吸はしてはいけないのです。
発作時は、ビニール袋や紙袋による呼吸(ビニール袋や紙袋を口に当てて呼吸する)を行って酸素をこれ以上体内に取り込まないようにしますが、もっと確実な呼吸法がありますので、以下にご紹介します。
・なにかをしていれば、とりあえず安静な姿勢を取る。
・息を止めて、10数える、そのときに息を深く吸わないことに気をつける。
・10まで数えたら、息を吐き、静かな落ち着いた調子で自らに「リラックス」と声かけをする。そのとき必ず鼻で息を吸うこと。
・3秒間、息を吐いて、3秒間、鼻で息を吸うことを10回繰り返す。息を吐くたびに「リラ ックス」と自らに声をかける。
・1分間の呼吸をしたあと、再び10秒息を止める。
・そして再び3秒息を吐いて、3秒鼻で息を吸う6秒サイクルの呼吸を1分間続ける。
・発作が消失するまでこの呼吸法を続ける。
カテゴリー:パニック障害
パニック障害の治療には認知行動療法
パニック障害には空間恐怖、広場恐怖と呼ばれるものを合併することが多くみられます。およそ3人にふたり程度は広場恐怖を伴っています。
広場恐怖で多いのは、電卓に乗れない、人ごみが怖い、長いトンネルや橋、高速道路、美容院や理容室が怖いなどがあります。
とくに最初のパニック発作が電車や高速道路などで起こることが多く、その場からすぐに離れることのできない状況で苦しんだということが一種のトラウマとなって、発作がコントロールされていても、なかなか電車に乗れなかったり、高速道路や長い橋を運転できなかったりするのです。
しかも悪いことに不安は拡大することが多く、しだいに行動範囲が狭くなっていきます。これを「全般化」と呼びます。
最悪の場合は外出が困難になるほどです。
パニック発作は電車に乗ってパニックが起こったらどうしよう、苦しくなってしまったらどうしようと頭の中で無意識に考えてしまうことによってパニックが起こるのです。
これを「自でいる青年期の心の問動思考」と呼びます。
この自動思考は現実的な考えに基づいておらず、誤った思考によって起こっているのです。これを「認知の歪み」といいます。
そしてこれを現実的な、適応的な思考に改めていくのが認知療法なのです。
さらにいえば実際に過呼吸を起こして、それでも大丈夫だという認識を持ったり、電車に乗って行動範囲を広げていくのが行動療法なのです。
パニック障害には、この認知行動療法が有効です。
もしあなたのまわりにパニック障害で通院中の人がいて、病院で認知行動療法の説明を受けていなければ、その医者は変えたほうがよいかもしれません。
もし、私自身がパニック障害になったら、迷わず認知行動療法を選択します。
これには理由があります。
パニック発作による不安、恐怖などに対して、もっともよく処方されるのは抗不安薬です。
たしかに即効性があり、その場では有効ですが、抗不安薬はたった1週間で依存が完成されます。ですから、抗不安薬は必要最小限の使用にとどめるべきです。
またSSRI(抗うつ薬の一種)はパニック障害に有効です。
しかし副作用が初期に強く認められるのと、断薬するときにふらつきなどの離脱症状が出るのが難点です。
すなわちパニック障害は、できれば薬なしで認知行動療法のみで治療するのがもっとも望ましく、それが無理ならばSSRIの使用を考慮すること、そしてどうしても必要なときだけ抗不安薬を用いることが求められると考えられます。
パニック障害はかなり罷患率の高い病気であり、女性に多く、女性の20人にひとりは「一生のうちl回はパニック発作を経験するといわれています。
原因は不明です。
もちろん本人が悪いわけではありません。
パニック障害で外出できなかったり、仕事ができなかったりしても周囲の人はけっして責めてはいけません。
治すのにはそれなりの時間がかかります。
怠けているとか、もっと自分でなんとかしなさいなどといっては本人が傷つくだけです。
あせりは、病気の改善を確実に遅らせます。
本人とともに病気と付き合いながら治していくことが周囲の人には求められているのです。
カテゴリー:パニック障害
パニック障害を見分けるには?
突然、息が苦しくなり、動博を訴えるのですが、体のどこにも悪いところはない、というよぅなとき、私たち精神科医が最初に思い浮かべるのは、「パニック障害」です。
これは救急車で運ばれるほどの苦しいものですが、救急病院に着いた途端、苦しさから解放されて、そのうえ医者からはどこも悪くはないといわれて帰ってくるということを何度か繰り返したりします。
また、過呼吸症候群とか過喚起症候群などと告げられたりもします。
あなたのまわりにこのような過呼吸症候群とか過喚起症候群と診断された人がいたら、それはすべてパニック障害と考えて間違いありません。
パニック障害と診断を下すためには「パニック発作」と呼ばれるものが繰り返し出現していることが基準となります。
まず発作が突然に起こることと、発作が10分以内に頂点に達することが特徴です。急激に出現して、短時間にピークに達するという点が重要です。
ダラダラと苦しさが続く場合はパニック発作ではありません。
以下の13項目の中の4つ以上を満たせばパニック発作と呼びます。
・動博がする、胸がドキドキする。
・汗が吹き出る。
・体や手足が震える。
・息苦しい、呼吸がバクバクする。
・窒息するかと思う。
・胸が痛い、不快だ。
・吐き気がする、おなかが不快だ。
・めまい、ふらつきがある。
・現実でない気がする。
・気が変になってしまうのではないかと思う。
・このまま死んでしまうかもしれないと思う。
・感覚がマヒする。
・体が冷たくなったり、熱くなったりする。
以上のようなパニック発作が繰り返し出現していて、さらにまた発作が起こるのではないかと恐れていたりすれば、それは「パニック障害」と呼ばれることになります。
なぜパニック障害になるのかは現在のところ、まだよくわかっていません。けれどもパニック障害のメカニズム自体はかなり明らかになっています。
自律神経には交感神経と副交感神経があります。
おおざっぱにいえば交感神経は体を動かす神経、副交感神経は体を休ませる神経で、昼間は交感神経が優位、夜間は副交感神経が優位となります。
また、自律神経は生命の恒常性、つまりホメオスターシスを保たせている神経であり、運動神経のように自分の意思でコントロールはできません。
したがって一度コントロールを失うと回復するのに時間を要します。
たとえば私たちは100m走をしたり怖いものに出くわしたりしたときに、誰でもドキドキ悩んでいる青年期の心の問題したり心臓の鼓動が早くなります。
そうなる必要が体に生じているからなっているのですが、パニック障害の人はそうなる必要がないのにそうなってしまうのです。つまり勝手に交感神経が興奮してしまうのです。
これがパニック障害の正体です。
パニック障害の発作を起こすと、死ぬのではないかという恐怖にかられますが、ほんとうに死んでしまうことは100%ありません。
あなたのまわりの人がパニック発作を起こして死んでしまうと叫んでいても、絶対に死ぬことはないと断言して安心させてください。
パニック障害の人は、内科などを受診してしばしば自律神経失調症といわれることがあります。
しかし、自律神経失調症という病名は実はありません。
それは自律神経症状が出現しているということにすぎないのです。
過呼吸によってたくさん酸素を体内に取り入れているのになぜ苦しくなるのでしょうか。
それは以下の理由によります。
私たちの体は酸素をたくさん取り入れることによって、逆に二酸化炭素の血中濃度が下がります。
この二酸化炭素の濃度が大切なのです。
つまり血液中で、酸素はヘモグロビンとくっついて流れています。そして細胞に必要な酸素をヘモグロビンから切り離して渡します。
このとき二酸化炭素の血中濃度が低くなると、酸素とヘモグロビンの粘着度が上昇します。
これにより細胞に渡る酸素が減少します。
すると細胞は酸素を必要とするために、体は酸素を体内に取り込むべく呼吸をさらに増大させて、酸素を取り込みます。
その結果、さらに二酸化炭素が少なくなって、よりいっそう酸素が細胞にいかなくなってしまうという悪循環に陥るのです。
さらに悪いことには二酸化炭素が少なくなると、体がアルカリ性に傾きます。
そうすると末梢にカルシウムが放出され、手足がしびれるのです。これが過呼吸のメカニズムです。
したがって過呼吸のときには、酸素をこれ以上体内に取り入れなければよいのです。
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パニック障害の人との接し方
青年期は自らの進路を決定する時期でもあり、社会に出ることへの恐怖感もあります。
もし悩んでいる友人がいるとすれば、とりあえずは話を聞くという姿勢があなたには求められます。
精神論は役立つこともありますが、根本的な解決策にはならないし、本人の窓意的な選択を妨げるという結果にもなってしまいます。
これはあくまでも一般論ですが、私は教訓的な言葉は控えて、その人の精神的な自立を促すような働きかけを心がけるようにしています。
これは線引きのむずかしいところではあります。
あなたの大切な人や友人が困っていれば、力になって手助けをしたいと思うのは当然のことだと思います。
ただ、その人が精神的に辛い状況にあって、助言や励ましではどうしようもない状態にあり、日常生活や社会生活に支障を来す状況が少なくとも2週間以上にわたっていれば、
そのときは精神科か心療内科を受診したほうがよいかもしれません。
あくまでも目安にすぎないのですが、他人があまりに深く介入することが状況を悪化させることもしばしば認められます。
好意が逆効果になってしまうようなことは避けたほうが無難でしょう。
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パニック障害の受診
これはさきほどお話ししたように、その人が日常生活、社会生活に支障を来すようになれば、そのときは受診をすすめるべきでしょう。
がんばりや努力で治るものと治らないものがあります。
そして、怪しげな水とか怪しげな民間療法はできればすすめてほしくないと私は思います。
たしかにそれで症状が改善することもあるかもしれません。
けれどもそれは多分に偶然であると思われますし、なにより費用が莫大ではないかと思います。
心の病気は、身体的な病気と同じ病気なので、科学として治療すべきであると私は考えます。
心の病気は、なかなか改善しないことも多く、長期的に薬を飲むこともよくあることです。
またよくなったり悪くなったりを繰り返しながら治っていくものでもあるのです。
それが周囲の人からの別に悪気はなくとも、何気ないひと言で患者さんは容易に動揺してしまうのです。
患者さん自身はいつも不安をかかえているので、動揺しやすいということもあります。
けれども横からいろんな意見をいわれて患者さんが混乱してしまって、患者さんが悩んだときには、たいていよい結果はもたらしません。
精神科や心療内科は、患者さんと医師との信頼関係に基づいて治療を行っています。
周囲の人はそうした信頼関係の大切さを認識し、治療はやはり「餅は餅屋」であると考えてください。
そして、もしその医者の治療に疑問があるなら、あなたが医師に直接疑問点を尋ねるか、それができないなら患者さんを通じて疑問を聞いてもらってもよいと私は思います。
そして仮に医師がそれにきちんと答えず、いいかげんに扱うか無視するようなら、その医師はあまり信用できないかもしれません。
大事なことは、診断がひとたびついたならば、周囲の人は注意深く見守るという態度が求められると私は考えています。
本人は、もちろん治りたい、早くこの苦しみから抜け出したいと思っています。
けれどもかなり多くの人が、精神的な要因によって症状が出現しているという事態を容認できないことがあります。
これはその人の病気からそうなっていることもあるし、性格的なことでそうなっていることもあります。
けれども、いずれにしても周囲から見て、どう見ても日常生活、社会生活に支障を来しているなら、受診をすすめてください。
本人も実は苦しんでいて、否認はしていても無意識の部分では受診への背中を押されたがっていることもあります。
周囲の人が、なかなか本人が受診してくれなくて困っているという相談を私もしばしば受けます。
しかし、受診させるのに王道はありません。根気強く説得するしかありません。
そのためには彼らの苦しみに共感し、共に病気に立ち向かい、これからも支援し続けるという態度を示すことです。
そうすれば彼らも遅かれ早かれ少しずつ心を開いてきます。そしてそのときは受診を渋々ながらも受け入れるようになるのです。
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