更年期の障害
女性のからだは、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)のふたつの女性ホルモンによって正常に保たれています。
ところが35歳をピークに、女性ホルモンを分泌する卵巣の機能が少しずつ衰えてきます。
それにともない、女性ホルモンの分泌量も低下し、月経が不順になり、やがて閉経を迎えるのです。
閉経の平均年齢は50歳で、この前後5年間(45〜55歳)を「更年期」といいます。
一般に用いられる「更年期障害」は、この時期に起こる身体症状・精神症状の総称で、病名ではありません。症状は多彩で、個人差が大きく、いわゆる不定愁訴が多く見られます。
更年期につらい症状が出やすくなるのは、卵巣機能の低下で、自律神経の中枢に異常をきたすためです。
身体症状には、月経の乱れ、ホットフラッシュ(のぼせなど)、発汗、冷え、皮膚の乾燥、不眠、疲労感、頭痛、動惇・息切れ、めまい、耳鳴りなどがあります。
精神症状は、倦怠感、無気力、無感動、気の滅入り、外出できない、自信が持てない、朝なかきられないなどです。
また、更年期にさしかかった女性の約二割が、漠然とした不安を感じるという報告があります。
更年期は、生殖可能な年代から不可能な年代に移行する、あくまでも「通過点」です。
だれもが必ず、いわゆる「更年期障害」を経験するわけではありません。
一般的に、完全主義の人、凡帳面な人、神経質な人、ストレスを感じやすい人、更年期に対してマイナスイメージを持っている人に症状が強く出る傾向があるといわれています。
更年期障害の治療には、精神療法、向精神薬による治療があります。精神療法では自律訓練法やリラクゼーション法の訓練を受けます。
症状に応じて、抗不安薬や催眠鎮静薬、抗うつ薬などの向精神薬が用いられます。
さらに以下のような治療方法が注目されています。
ホルモン補充療法
日本には、10年ほど前に導入されましたが、欧米ではすでに一般化されています。
卵巣機能の低下で分泌が減少した女性ホルモンを補充する治療法です。治療期間は一般的に数か月から半年です。
卵胞ホルモンと黄体ホルモンを錠剤などで服用します。薬の組み合わせや量、服用の仕方は人によって違います。
ほてりやのぼせ、冷え、発汗などに特に効果が高いといわれています。憂うつや不眠などの精神疾患も軽くなることがあります。
ストレスなどが加わって精神症状が強く出ている場合には、ホルモン補充療法だけでは対処できないことがあります。
そういうときは、抗うつ薬や抗不安薬、催眠鎮静薬などを併用したり、カウンセリングを行ったりします。
副作用として、がんの問題があります。
当初よくいわれたのは、子宮体がんを発症するのではないか、ということです。確かに卵胞ホルモンだけを長期間使い続けると発症リスクは高くなりますが、黄体ホルモンを併用すると、むしろリスクが低くなることが研究で明らかになりました。
乳がんについては、まだはっきりとわかっていません。5年未満なら問題ないだろうといわれていますが、それ以上になるとリスクが高くなる可能性があります。
また、ホルモン補充療法を避けた方がいい人もいます。子宮体がんや乳がんにかかっている、あるいは過去にかかったという人や、血栓症や塞栓症、心臓病、肝臓病、腎臓病、糖尿病などの持病がある人、子宮内膜症や子宮筋腫、乳腺症の人がそうです。
漢方薬による治療
漢方薬による治療は、比較的副作用が少ないので安心して受けられる点がメリットです。高い治療成績もあげています。
更年期障害によく処方される漢方薬としては、加味醤逍遥酸、女神散、桂枝茨苓丸、当帰苛薬散、桃核承気湯、黄連解毒湯、三黄海心湯、柴胡加竜骨牡蠣湯、夏厚朴湯、香蘇散などがあります。
症状が重ければ受診を
軽い症状なら生活改善や運動することで乗り切ることができます。
しかし症状が重く、生活に支障をきたす場合は精神科などの医療機関を受診しましょう。
精神的な症状を一人で抱えている人が少なくないのですが、深刻になると大うつ病性障害(うつ病)を併発することもあります。早めの対策が大切です。
43歳未満で1か月以上月経がない場合を「早発閉経」といいます。
しかし最近は、早発閉経までいかなくても、まだ女性ホルモンが働いていなければならない時期に月経が止まってしまう女性が増えています。
考えられる理由のひとつが過度のダイエットです。10代から20代前半に多くみられます。30代を中心に増えているのはストレスからホルモンのバランスを崩し、月経が止まってしまうケースです。
特にワーキングウーマンによく見られ、仕事の面では非常に優秀で、男性に伍して働いているタイプに多いようです。
月経が止まるだけでなく、めまい、肩凝り、動悸といった更年期障害のような症状をともないます。
こういったタイプは卵巣の機能自体は問題ないことが多く、治療をすれば回復します。
ホルモン検査や超音波検査で診断がすぐにつくので、早めに受診をしましょう。
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