強迫性障害の治療
強迫性障害は現在、治療可能な病気といいましたが、具体的な治療はどうするのかをお話しします。
20年ほど前には、強迫性障害は治療が困難な精神疾患でした。それがSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤。)の出現によって、以前とは比較にならないほど症状の改善が期待できるようになりました。
SSRIはうつ病の薬なのですが、強迫性障害にもセロトニンが関与しているために有効ではないかとされています。
SSRIは完壁に症状を除去するほどではないけれど、がまんできる程度までには症状を減じることが可能なのではと考えています。
そして強迫行為そのものを減らすというよりも、強迫観念を和らげる方向に働いていると感じています。
いずれにせよ、薬はある程度は有効なのですから、試す価値は十二分にあることを周囲の人にはもちろん、本人にも認識してほしいと私は思っています。
SSRIは、効果が発現するまでに、およそ1か月程度要します。
薬を飲んでもなんにも変わらないといって薬をやめてしまわないようにしてください。
さらにSSRIの服用初期に吐き気、眠気が強く出ることもあります。
どうしても飲めないときは仕方がないのですが、がまんできるならば効果が現れるまで飲み続けるべきです。
そうしないと副作用だけ出て、効果がないということになってしまってもったいないと思います。
もうひとつ注意したいのは、症状が和らいできたからといって、勝手に薬を中断しないことです。
SSRIは急な断薬で以前にも増して症状が悪化してしまうこともあるし、断薬によってふらつきなどの自律神経症状が出現することもあるからです。
もちろんすべての人がこうなるわけではないのですが、約1年は服用を続けることが望ましいとされていますし、医師と相談しながら減薬、断薬することが必要です。
SSRI以外の治療としては行動療法があります。これはかなりの根気と本人のやる気、努力が必要です。
具体的には自分自身の強迫行為を列挙し、その中で自分が行為を減らすことができそうなところからはじめていきます。
たとえば数ある強迫行為の中で自分で減らしていくことが可能だと思えること、それがシャワーの回数であれば、1日10回を9回に、それができれば9回を8回にというように実践していくのです。
それが可能になればさらに強迫行為の種類と数を減らす範囲を広げていけばよいのです。
しかし、これはそう簡単にはできません。
行動療法には周囲の人の理解と援助が欠かせないのです。
また周囲の人は、彼らの強迫行為を強めるようなことはやめるべきです。
たとえば、これをすれば本人が安心するからということで、周囲の人がそのとおりにしても、一時的にはうまくいったように見えて、結局はうまくいきません。
強迫性障害を克服するのは、なかなかむずかしいのですが、病気を安易に考えず、医師、本人、周囲の人との協力で治していくという姿勢が求められます。
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