心療内科、精神科への受診
教師の中には、心療内科や精神科が、不登校の子どもに対してなにができるのかと否定的に考えている人も少なからずいます。
たしかにそういう二面もないとはいえません。
心療内科、精神科を受診して、みるみるよくなり登校できるようになるということはめったにありません。
不登校の子どもに対する私のスタンスとしては、心療内科や精神科に通うことが、彼らが学校にいっていないぶんの社会的経験の一助になればいいというものです。
それは、学校以外の体験が彼らの将来に役立つのではないかと私が考えているからです。
そのことに対しての教師の考えも一致するところではないでしょうか。
だからそれほど心療内科や精神科にかかることに対して、構える必要はないと思うのです。
ただし、不登校の子どもがあまり受診していないクリニックや病院は避けたほうがよいかもしれません。
いつ受診をすすめるかについては、とくに決まったマニュアルはありません。いつでもいいと私は思います。
その理由は先ほど述べたように、受診は彼らの体験のひとつにすぎないし、体験する選択肢が多いほうが彼らにとってもよいのではないかと考えるからです。
ただ親が孤立し、親子とも孤立無援の状態に陥っているときには、その打開策のひとつとして受診は適切なものであると私は思うのです。
不登校が単に学校に登校しないということだけではなく、心の病気であることはしばしばみられます。
教師がこの点について専門的な判断ができるわけではありません。
しかし、生徒をよく見ている教師であれば、ふたつの点に注意してほしいと思います。
ひとつは、先に述べた不登校との鑑別が困難である統合失調症のはじまりの場合です。
注意すべき点としては、統合失調症の初期症状が、家庭訪問で親から聴取できたとき、あるいは本人が学校に出てきたときに認められたら、医療機関への受診をすすめてください。
教師が自分で判断することはいけません。
統合失調症の治療はカウンセリングで治療できるものではないのですから、必ず医療機関を受診させなければなりません。
治療の遅れは、彼らの一生に大きな影響を及ぼすものであると教師も自覚しなければなりません。
もうひとつは、社会不安障害のはじまりがあるかもしれないことに留意してほしいことです。
人前で発表するとき過剰に緊張する姿が、ただの「恥ずかしがりや」の城を超えている場合、それは単なる性格傾向ではなく「社会不安障害」という心の病気である可能性もあります。
とくに社会不安障害の発症は15歳ごろがもっとも多いので、教師が社会不安障害の発症時期に立ち会う可能性が高いのです。
けれども「恥ずかしがりや」がかなり極端であっても、周囲にはそれが性格のためであるという理解をされやすく、心の病気であるという認識は低いという現状はまだまだ存在しています。
社会不安障害は治療可能な心の病気であることが現在ではわかってきました。
ただ単に慣れればよいとか、性格を強くすればよいとか、気合いを入れれば大丈夫などという安易な精神論だけでなく、それが病気である可能性も高いのですから、教師は、極端な恥ずかしがり、内気な生徒には、社会不安障害の可能性を考慮に入れる必要があるのは当然のことだと思います。
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