子供のうつは分かりにくい
子どもはうつという事態に陥っても、大人のように抑うつ気分や抑制症状を自覚・認識し、言葉で表現することが容易ではなく、表情、態度、行動、身体症状などで表す場合が少なくありません。
しかし、表情、態度、行動、身体症状の評価は、状況によって変化するものであり、観察者によっても千差万別であるため、一定の基準を設けることはなかなか困難なのです。
また、同じうつに陥っても、ある子どもは学校へ行けなくなり、家にひきこもって動きが乏しくなりますが、別の子どもはむしろイライラして親に当たり散らし、落ち着かない状態が続くこともあります。
さらに、頭痛や腹痛などの身体症状の訴えが中心で、執拗な訴えを繰り返す子どもや、いかにももの悲しそうにメソメソする子どももいます。
ときには、何事においても自分を責めて後悔ばかりする子どももいれば、斜に構えた態度で厭世的な言葉を述べる子どももいるのです。
このように同じうつでも、個々が表面に見せる症状はそれぞれ異なっていることが少なくありません。
では、すべてのうつに共通する本質的な症状とは、どのようなものなのでしょうか。
ここで、うつの症状を、最も基本的で、皆に共通して存在する症状(中核症状)と、個人の個性(性格、年齢、国民性など)を介して表れる二次症状に分類して説明しようと思います。
中核症状とは、うつの最も基本的な症状です。
身体症状として、
・睡眠障害(途中で目が覚める中途覚醒、朝早く目が覚める早朝覚醒)、
・食欲障害(食欲がない、体重減少)、
・日内変動(朝の調子が悪く、夕方から楽になる)、
・身体のだるさ(身体が重く、疲れやすい)があり、精神症状として、
・興味・関心の喪失 (好きなことが楽しめない)、
・意欲・気力の減退(気力が出ず、何事も億劫)、
・知的活動能力の減退(集中できず、頭が働かない)があげられます。
これらの症状は、うつの最も本質的な症状であり、おそらく脳の生物学的変化(脳内におけるセロトニンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質のアンバランス)を直接反映する症状と考えられます。
すなわち、風邪で発熱し、咳や鼻水が出るのと同じように、なぜそうなるのか本人にもわからず、それ以上立ち入った分析ができず、誰にもほぼ同じ形で体験されるという特徴を持ちます。
中核症状は子どもの個性、年齢、国民性を超えて一様です。さらに、動物のうつ病にも認められる症状と言えます。
動物も風邪をひけば、熱や鼻水が出るのと同じです。
二次症状とは、中核症状の体験が各個人によってさまざまな形で表れたものであり、性格、個性、年齢、国民性などによる差異が大きく、きわめて多様なことが特徴です。
つまり、風邪をひいても、訴えが多い子もいれば、じっと我慢する子もいます。
あるいは、泣き騒ぐ子、機嫌が悪くなる子、おとなしくなる子、普段と変わらない子など、さまざまな表れ方があります。
うつの二次症状は、不安、憂うつ、焦燥感、イライラ感、悲嘆、悲哀感などの感情面の症状や、自傷行為、自殺企図、ひきこもりなどの行動面の症状があります。
これらは、背景に中核症状が存在し、それが性格、年齢、国民性などによってさまざまな表れ方をしていると考えれば、理解できるのではないでしょうか。
子どものうつ」は性格・個性や国民性によってさまざまな様相を呈することが多いと言えます。
このことが「子どものうつ」の診断を難しくしてきた大きな要因と考えられます。
しかし、丁寧に質問して確認してみると、個性や国民性が異なっていても、いずれの子どもも、眠れない、食欲がない、疲れやすい、朝の調子が悪いなどの身体症状と、好きなことも楽しめない、何事も億劫、集中できないなどの精神症状からなる中核症状は、共通して存在することがほとんどです。
前景に見える症状だけでなく、その裏に潜む中核症状の存在につねに注意することが、「子どものうつ」を見逃さない重要なポイントになるのです。
お気に入りのブックマーク・RSSに登録 »
関連記事
サイトマップカテゴリー:子供の心の病気
トラックバック(0)
http://yg-away.biz/mt/mt-tb.cgi/238

